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通常のスーツスタイル

通常のスーツスタイルでは、靴こそ大切とご説明しましたが、クールビズではそれほど固く考える必要はありません。ランニングのときに履くようなスポーツタイプのスニーカーはカジュアルすぎてお薦めできませんが、革素材で落ち着いたデザインのスニーカーなら許容範囲でしょう。また、革靴であれば、紐のないスリップオンタイプやローファーを選べば、よりすっきりとした印象になります。靴の色は黒と茶を選ぶのが無難ではありますが、より明るめの茶色やキャメル、ベージュなどはより軽快に見えます。夏らしい開放感があってお薦めです。またクールビズでは、ベルトが重要な役割を果します。いつもは隠れてしまっていて、脇役の印象が強かったベルトも、上着がなくなればとたんに目立ちます。メインキャストといっても良いくらいですから、くたびれていない、色つやの良いものを身につけてください。色は靴と同じ色か同系色で揃えるのは鉄則でしたね。

年齢と比例した高度な洗練を身につける

日々の研究の結果、日本の中年以上の女性はいくつかのパターンに括られる。五、六人のグループで作るハーモニーが、一つのトーンに引きずられて同じように聞こえる。そのパワーが強くて違うトーンの人が入っても掻き消されてしまう。と、まあそんな印象なのだ。派手な色彩の服を着た人が五、六人集まると、せっかくのきれいな色も満腹感で逃げ出したくなる。若い人ならそうでもないのに、私達の年齢は本当に哀しいことに難しい。「今日ね、私達より上だと思うの、かなり過激なファッションをしている人を見たわ。それを見てね、やっぱりそういう服は若い人のものだとつくづく反省させられたわ」おしゃれが大好きで、かなり冒険もするTさんである。人の失敗(その方はそうは思っていないはず)も我が事のように身につまされる。個性を強調してもそういう結果になるし、派手なら派手で目に余るし、と私達は年齢と比例した高度な洗練を身につける以外方法はなさそうです。若い人のように簡単ではないけれど、成功すれば、若い人には望めない素敵さを演出できるはず。永年の知恵と工夫が生きて、堂々と素敵な女性、いいですねえ。

スーツはいかなる運命をたどるのか?

髪型は後ろで結んだポニーテール。「馬と猟犬」の記者のふりをしたヒュー・グラントが、黒いスーツ姿の彼女を『黒馬物語』の主人公、ブラックービューティーにたとえて、賛美する。媚びた芸人にも、学芸会のお子様にも転ばなかった、さっそうたるブラ。クービューティーさながらのジュリア・ロバーツのスーツ姿を見ると、これからは女性のフル装備スーツもありかもしれない、という気になってくる。ただし、である。やはり女性のスーツ姿は、走りの速さとか丈夫さとかの「中身」を何も問われず、「ただただ美しいだけ」という理由で「ブラックービューテイ」と名付けられた『黒馬物語』の主人公の黒馬さながら、人を圧倒するほどの美しさを感じさせるものでなければ、今のところは許容されないのかもしれない。この点が、「男は外見よりも中身」を大義名分に、「装わない装い」としてスーツを無難に着ていても許される男性と決定的に違う。では、この場合の「中身」とは?スーツを着る男に求められる「中身」とはすなわち、近代をとおして培われてきた男らしさの神話のどこかにつきあたるものであることが多い。封建社会が崩壊しはじめる頃、スーツのシステムは誕生した。近代への過渡期を経て、近代市民社会の発展、熟成のなかで、スーツのシステムは洗練され、完成を見た。そして今、近代市民社会を支えてきた価値観が、あちこちではころびを見せ始めている。これが完全に崩壊し、新しい社会が到来する時代も遠からず訪れるかもしれない。その時、スーツはいかなる運命をたどるのだろうか?